2010/10/30

真に受ける男 間を埋める男

今年のノーベル化学賞を受賞した、米パデュー大特別教授の根岸英一さんは、受賞決定後の記者会見でこう語ったという。「日本はすごく居心地のいい社会なんでしょうけれど、若者よ、海外に出よ、と言いたい。たとえ海外で成功しなくとも、一定期間、日本を外側からみるという経験は何にもまして重要なはず」

先人のメッセージを真に受けて、それを目印にして生きてきたつもりだけど、こうしたメッセージをあつめて体系化するとものすごいメッセージ性のつよいテキストができるのではと考えついて、そして気付いたことは、自分のなかで先人たちのメッセージを勝手につむいでおおきなネットワークをつくっていたこと。ただそれは自分にしか響かない。

2010/10/29

乱世を生きる2005橋本治

「システムの危機」とは、「たった一つの方向性」しか持てなくなってしまっていることで、「勝ち組を独裁者にしてこの現実を更にややこしいものにしてしまうことを回避する方法」は、「たった一つしか方向性のない世界」を、「複数の方向性を持つ世界」に変えて行くだけなのです。それが「システムからの脱出」で、そもそも、「世界」というものはもっと不便なものなのです。

いろいろなものが錯綜していて、それゆえにこそ不便な「世界」がある。だから、「これを整理してシステム化すれば便利になる」と思う。システム化すれば、方向性はどんどん「一つ」に近づいていく。なぜかと言えば、それこそが「便利なあり方」だからです。誰にとって便利かと言えば、それはもちろん、「システムにとって」で、「システム化を実現させて行く人にとって」です。
それが、「システムを利用する人」にとって便利かどうかは分かりません。それを「不便」と言えば、その人達はシステムから遠ざけられてしまう
―それが「推進されるシステム化の究極の姿」で、「システム化」というものは、そういう方向性を目指すものなのだから、仕方がありません。
「便利」が加速すれば、破綻は近づく― 人は普通こんなことを考えませんが、実はそうなのです。

2010/10/28

大野盛雄1974フィールドワークの思想

地形や気候の厳しさ。農民の生活や生産についていかに深い関係にあるかがよく論ぜられる。しかしこうした状況の中に暮らそうとするときには、この厳しさに堪えようとする姿勢が少なくとも私たち自身の側にあるわけで、したがって当事者としてはその厳しさを客観的な厳しさとしては受け止めることがむずかしくなる。農民はこの厳しさを日常性の中で受けとめているわけで、私たちも彼らの日常性を理解しようとすると、広大な平原はかならずしも大きくは思えず、半年もそれ以上も雨の降らないために灰のようになった土の中での生活をあたりまえと思い、気温の寒暖の差のはげしさをさして苦痛と感じないように努めている。そしてそのうちに温度計にあらわれた客観的な数字にさえも驚かなくなってしまう。59