地形や気候の厳しさ。農民の生活や生産についていかに深い関係にあるかがよく論ぜられる。しかしこうした状況の中に暮らそうとするときには、この厳しさに堪えようとする姿勢が少なくとも私たち自身の側にあるわけで、したがって当事者としてはその厳しさを客観的な厳しさとしては受け止めることがむずかしくなる。農民はこの厳しさを日常性の中で受けとめているわけで、私たちも彼らの日常性を理解しようとすると、広大な平原はかならずしも大きくは思えず、半年もそれ以上も雨の降らないために灰のようになった土の中での生活をあたりまえと思い、気温の寒暖の差のはげしさをさして苦痛と感じないように努めている。そしてそのうちに温度計にあらわれた客観的な数字にさえも驚かなくなってしまう。59